(あらすじ)
時は江戸時代。人々は神出鬼没の辻斬り「かまいたち」に恐怖していた。 そんなある晩,街医者の娘であるおようは,辻斬りの現場に遭遇してしまう・・・。 表題作である「かまいたち」の他,短編時代小説を3作品収録。 「かまいたち」について。 ミステリー小説でありながら,登場人物のうち誰が「かまいたち」なのかが序盤で分かるうえ,その後の展開も読めてしまう。巻末の解説によると,「(このように「かまいたち」が誰か序盤で分かってしまうのに)読者が最後まで引き付けられていくのは,おようの心情が丁寧に描かれているからである。」とされている。 しかし,こういったおようの恐怖や焦燥感などの心情は,やはり,「かまいたち」の正体が最後まで分からず,今後ストーリーがどう展開するか分からないといった状態で始めて,読者に真に伝わってくるものであり,小説序盤から展開がすっかり読めてしまい,ハッピーエンドが約束されている状況では,おようの恐怖など茶番にしか見えず,緊張感がなくなってしまうように感じた。その点で,この小説は損している気がしてならない。 この「かまいたち」も,他の作品も,そこそこ面白いのだが,読んだ後に格別印象に残らない。 通勤・通学のときなどのちょっとした時間に気軽に読むのに適した短編集だと思う。 <オススメ度>★★★
by komuro-1979
| 2006-11-05 23:26
| 日本の小説
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