(あらすじ)
身寄りもなく、盲目で、精神の発達の遅れた少女であったジェルトリュードは、 主人公の牧師に拾われ、その教育を受けて、美しく、純真無垢で、そして知性的に育つ。 しかし、開眼手術のあと、思わぬ悲劇が彼女を襲う・・・。 ジェルトリュードの成長の速度があまりに速すぎる気がしたが、 本が薄く、全体の分量自体が少ないのでしょうがないか。 盲目の彼女がどんどん成長していくストーリ展開は、分かりやすくて面白かったが、 一方で、宗教色の強い部分はわかりにくかった。 (例えば、主人公と息子のジャックとの対立や、聖書の文言解釈など) 主人公が自分の感情や本当の気持ちを、 宗教を理由に誤魔化し続けていくところには反感を持った。 彼にとって宗教は、自分を正当化する手段でしかなかった気がする。 一体、彼に、ジェルトリュードとジャックの恋愛を妨げる、どんな権利があったのだろうか? しかしそれにしても、主人公がジェルトリュードに対して、 必死で隠そうとしていた「世間の醜さ」というものを、 主人公自身が体現したのが、なんとも皮肉だった。 ジッドの作品は、他にはまだ「狭き門」しか読んでないが、 ジッドは宗教というものに反感をもっているのだろうか? <オススメ度>★★★★
by komuro-1979
| 2005-10-29 00:33
| フランスの小説
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