上巻を読み終わった。
途中からどんどん面白くなってきて、 終わりまで一気に読んでしまった。 後半は特に面白かった。 まず、ラズミーヒンとペトローヴィチの社会主義についての論争。 ラズミーヒンが社会主義を痛烈に批判するのだが、 その中で女児虐待をもちだすあたり、 「カラマーゾフの兄弟」でイワンがキリスト教を批判した箇所とちょっと似ているなと思った。 また、主人公が犯人だとにらみ、いろいろカマをかけようとするペトローヴィチと、 それをかわす主人公とのやりとりは非常に緊迫感があった。 そして、主人公の、「人間には凡人と非凡人がいて、非凡人は破壊者であり、 法を踏み越え、自分の良心の声に従って他人の血を流す事もゆるされる」 という理論は、(もちろん賛成できないが)興味深く、 彼の犯した事件との思想的なつながりを感じさせ、面白かった。 ストーリー展開も、主人公に段々と迫っていく官憲の手や、 彼が罪の意識に苛まれる姿(特に罪の意識が彼に見せる夢の描写はすさまじい)、 突然彼に「人殺し!」と吐き捨てる謎の人物、 そして妹の婚姻についての家族との対立などなど、読者を飽きない構成だ。 次が知りたくてどんどん読んでしまう。 下巻を読むのが楽しみだ。
by komuro-1979
| 2004-09-22 03:51
| ロシアの小説
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