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「モンテ・クリスト伯(六)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

この巻は面白すぎる。
面白すぎて、ほんとに寝食を忘れそうだ。

フェルナンに対する復讐は、
あまりにも残酷で恐ろしい。
これだったら、闇に紛れて、背後から銃で頭を撃って死なせてもらったほうが、
よっぽど幸福に思える。

煮えたぎる憎悪を驚異的な自制心で抑え、
優雅な貴族の仮面をかぶり、
機械的に、そして完璧に復讐計画を遂行していたモンテクリスト伯。
その姿はあまりに超人的で、人間的とは言えなかったのだが、
ここへ来て初めて彼の人間らしい素顔が見え始めた。
彼の作られた仮面を剥ぎ取ることができたのは、やはりメルセデスだった。
しかし、あれだけ愛し合った二人がこんな形で会うことになろうとは・・・。
2人の苦しみと悲しみが、やるせなかった。
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by komuro-1979 | 2005-09-30 21:19 | フランスの小説

「モンテ・クリスト伯(五)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

これまで彼が地道に蒔いてきた復讐の種が、
ここでようやく芽を出して、成長し、
復讐相手の平和な家庭を食い荒らし始める。
ようやく本格的な復讐が始まった。

それにしても、見事な復讐計画だ。
決して自分の手を汚さず、証拠も残さずに、
復讐相手の家庭内にあるささいな悩みやひずみを、これ以上ないほど増幅させ、
結果、全てを破壊する。
モンテ・クリスト伯の行動は、一見、復讐に関係ないようにみえるものでも、
全て何らかの形で復讐に向かっている。
計画の壮大さ緻密さ、そして恐ろしさに惹きつけられて、
この五巻はあっという間に読んでしまった。
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by komuro-1979 | 2005-09-29 19:54 | フランスの小説

「モンテ・クリスト伯(四)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

ここのところ時間があるので、読むペースは一日一冊。
あっという間に四巻だ。

四巻は、復讐相手の家族たちや、その家庭事情についての詳しい描写と、
復讐に関連する新たな登場人物の紹介などがメイン。
こういった事柄は、後々の話の展開にとって重要なことだろうけど、
その説明が長いせいで、この巻では話があまり進まないことにやや退屈してしまった。
この巻は、これから始まる復讐劇の印象を、
より深く重厚なものにするためのものだという印象を受けた。
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by komuro-1979 | 2005-09-28 16:46 | フランスの小説

「モンテ・クリスト伯(三)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

三巻では、モンテ・クリストと名乗るようになったダンテスが、
復讐相手の家族に取り入る様子が中心に描かれている。
その手際の良さには惚れ惚れする。

それにしても、この物語は結局、ダンテスが復讐を終えて
それで終わりになってしまうだろうか?
確かに彼には復讐する当然の理由があるわけだけど、
それによって、なんら罪のない復讐相手の家族まで不幸にしてしまっては
後味が悪いよなぁ・・・。
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by komuro-1979 | 2005-09-27 13:40 | フランスの小説

「モンテ・クリスト伯(二)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

(あらすじ)
監獄を脱出し、莫大な財宝を手に入れたダンテスは、変装して知り合いのもとを訪れ、
世話になった人に恩返しをする・・・。

二巻では、モレル氏への恩返しのシーンが一番印象に残った。
モレル氏は商売上の運に見放され、会社経営が逼迫する。
商売道具を失い、社員は去り、金策も尽き、いよいよ破産寸前となったところで、
家名を守るために自殺を決意する。
彼の絶望と、それを見ながらも何も出来ない家族達の悲しみなどがすごくよく描けていて、
最終的にはダンテスの恩返しによって救われるのだろうな~と思いつつも、
ハラハラしてしまった。

世話になった人への恩返しが終わり、あとは復讐を残すのみ。
でもかつての恋人であるメルセデスに対してはどう接するのだろう?
そこが一番気になる。
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by komuro-1979 | 2005-09-26 13:22 | フランスの小説

「モンテ・クリスト伯(一)」 アレクサンドル・デュマ 岩波文庫

「モンテ・クリスト伯」は全七巻。
その分量の多さに今まで尻込みしていたが、
読書の秋ということで、挑戦してみたいと思う。

(あらすじ)
船の1等運転士である主人公ダンテスは、出世と、愛する人との婚約の直前にあり、
幸せの絶頂にあった。しかし、彼の出世を嫉む同僚、恋敵、自己の政治的保身をもくろむ検察官の策略によって、重い罪で監獄に入れられてしまう。釈放の見込みのない長期間の監獄生活。全てに絶望したダンテスは自殺を決意し断食をはじめる。そんな時に、彼が寄りかかっていた壁から、かすかな物音が聞こえはじめる・・・。

これは面白い!

幸せの絶頂にあったダンテスが、一転、絶望のどん底に突き落とされ、
監獄の中で死を願うあたりを読むと、読んでるこちらの胸が痛くなりそうだった。
ダンテスのように健康的で親切でやさしくて、誰からも好かれそうな人間でも、
社会生活を送る上では、知らないうちに誰かの恨みや嫉妬を買うことは避けられない。
そういう知らずに買った悪意が何らかのきっかけで噴出した場合、
突然思いもよらぬ大きな不幸となって襲い掛かってくることがある。
他人事ではないような気がした。

ダンテスがファリアと会うあたりから、監獄からの脱出に希望が見え始め、
読み手の心にも明るい希望が見えてくる。
自分を不幸に陥れた犯人がはっきりした今、
はやく脱出して、味わされた苦痛を奴らに思い知らせてやって欲しいものだ。

ああ、先が気になる・・・(笑)
二巻以降がほんとに楽しみだ。
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by komuro-1979 | 2005-09-25 18:26 | フランスの小説

「外套・鼻」 ゴーゴリ 岩波文庫

「外套」と「鼻」が収録されている。
100ページぐらいなので、1時間半ぐらいで読み終わってしまった。

「外套」は、貧しい下級役人が、なけなしのお金で外套を新調するが、
その外套がもとで不幸に見舞われるという話。
主人公の仕事と生活は、あまりにも単調で機械的。
しかも安月給で生活は非常に貧しい。
そんな苦しい状況の中でも、充実した気持ちで日々を送る主人公の姿が、
どこかユーモラスに描かれていたのが印象に残った。
作者のユーモアと皮肉の効いた文は、自分のつぼにはまったが、
ストーリー自体は別に面白くもなく、つまらなくもないといったところ。
巻末の解説を読んで、
「これはすごい作品なんだなぁ、自分には分からなかったけど」と思って読了。

「鼻」は、朝起きると鼻が無くなっていることに気付き、
鼻を追って奔走する小役人の話。
面白いか・・・これ?
この作品については、巻末で解説がほとんどなされていないために、
どこにこの作品のポイントがあるのか、結局最後まで分からなかった。
読後、書評サイトを巡回してみると、
絶賛しているひとが多かったことを考えると、
自分の感性が人とズレているのかもしれない。
個人的にはつまらなかった。


<オススメ度>★★
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by komuro-1979 | 2005-09-21 01:08 | ロシアの小説

「人間の絆(四)」 モーム 新潮文庫

久々に時間を忘れて心から熱中できる小説に出会えた。
貪るように一気に読んでしまった。

主人公は様々な人と出会い、恋をし、そして別れ、
人の死や挫折を経験し、そこからいろんなことを学んでいく。
その過程が読んでてとても興味深く、
自分の生き方について再考する機会を与えてくれる。
これほど味わい深く、読んでよかった、勉強になったと思える
小説は、なかなか巡り会えない。

主人公は以前、人生の意味について友人に問い、
友人はその返答として、ペルシャ絨毯を贈る。
主人公はその意味についてずっと考えていた。
成長した彼は、やがて一つの結論を出す。
僕はその結論はやや悲観的で冷笑的とも感じ、
彼のように割り切って考える事はできない。
でもそこには、人生をより幸せに生きる一つのヒントがあると思った。

・・・
超オススメの小説です。
このブログでレビューした小説の中で、
ベスト3に入るくらい面白かった!
分量は多いけど、読みやすく、
物語性も高くて飽きないです。
ぜひこの小説を読んで、主人公フィリップと一緒に
人生の様々な問題について考えてみてください。
きっとためになると思います。

この小説と出会えてほんとによかった。


<オススメ度>★★★★★
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by komuro-1979 | 2005-09-15 17:53 | イギリスの小説

「人間の絆(三)」 モーム 新潮文庫

非常に面白い!

三巻はもうほとんど恋愛小説だ。
主人公が気まぐれな女(ミルドレッド)に振り回され、何度も裏切られるが、
それでもなお彼女を愛する事をやめる事ができないという展開に、
「マノン・レスコー」を思い出してしまった。

「マノン・レスコー」ではマノンが非常に魅力的で、
主人公が振り回されるのもやむをえないかなと、ある程度同情できるけど、
ミルドレッドはまったく魅力が無い。
そして主人公もなぁ・・・。
小さい頃は純真な子供だったのに、
今では虚栄心やプライドだけ高くて、中身が無い人間になってしまって・・・。
恋愛に関して非常に自己中だし、はっきり言って好かない。
そんな彼がミルドレッドにプライドをズタズタに引き裂かれ、
のたうち回る様子に爽快感を感じてしまった。

それにしても、主人公のように、
自分を愛してくれていて、その人と一緒になれば幸福になれるであろう人よりも、
自分を決して愛してくれない上に、その人と一緒になったら
絶対に不幸になるであろう人のほうを愛してしまう場合が往々にしてある。
恋愛とはそういうものとはいえ、やはり不思議だ。
主人公はこんな恋愛をやめようと必死で抵抗するが、
強烈な恋愛感情の前にまったくなすすべが無い。
恋愛状態の時は理性など無意味になるということが、
この小説ではよく描かれていると思う。

一巻より二巻、二巻より三巻と、
だんだんと面白くなってきている。
三巻は最高に面白かったので、四巻に期待がかかる。
尻すぼみの展開だけはやめて欲しいものだ。
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by komuro-1979 | 2005-09-14 17:22 | イギリスの小説

「人間の絆(二)」 モーム 新潮文庫

一巻を読んだ時はやや退屈だったけど、
二巻は面白い!

フィリップが様々な人間と出会い、
彼らと人生論や芸術論について語り合うのだけど、
その内容に含蓄があって、知的好奇心を刺激される。
読んでると、いつの間にかフィリップと一緒になって、
これらの問題について深く考え込んでしまっている自分に気付く。

二巻で特に印象に残ったのは、フィリップのミルドレッドに対する恋。
ミルドレッドはどこからみても嫌な女だなぁ~。すごい強烈。
そんな彼女を軽蔑しているはずなのになぜか恋してしまい、
最後にはプライドも何もかも投げ捨てて、
彼女の前にまるで奴隷のように身を投げ出す様子は、
滑稽であると同時に痛々しい。
自分の足の不自由をネタに使って彼女の気を引こうとするところは、
情けなくてしょうがなかった。

しかしそれにしても、フィリップのように、
相手が好きであると同時に軽蔑する、という恋というのはすごい苦しいのだろうなぁ。
いや、というより、そもそもそんな恋ってありうるのだろうか?
わからん・・・。
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by komuro-1979 | 2005-09-11 19:12 | イギリスの小説