「ドキュメント精神鑑定」 林幸司 洋泉社

猟奇的な事件が起こると,ニュース上では精神鑑定という文字が躍ることが多く,
以前より,精神鑑定そのものに興味を持っていたし,精神鑑定の対象者は
どんな人なのだろうという興味もあったことから,なんとなくこの本を手に取った。

気軽に手に取ったはいいが,精神鑑定の流れや病気について,
予想以上に丁寧に説明がなされており,新書ながら情報量は多い。
精神鑑定について詳しく知ることができる一方,読むのに骨が折れ,
特に第1章は,法律に興味がないと読むのは辛いかもしれないと感じた。

この本のメインは第3章。
著者は精神科医として20年以上のキャリアを持ち,精神鑑定を多数経験しているのだが,
その著者が実際に行った精神鑑定が10例ほど紹介されているのだ。
対象者の精神状態や言動に対し,どんな診断が下されるか,
鑑定人として法廷に立ち,証人尋問を受けるのはどういった気持ちなのか,など,
好奇心をそそられるところがたくさんあり,読んでて素直に面白い。

筆者は,精神鑑定の重要性を説きつつも,同時にその限界を示したうえ,
今後の精神鑑定はどうあるべきか,などといったところまで踏み込んだ記述がなされており,
その誠実な態度に好感を持てた。

興味がある人は是非手にとってみて下さい。 
[PR]
by komuro-1979 | 2007-02-12 22:32 | 小説以外の本
<< 「人間の土地」 サン=テグジュ... 「劇場」 サマセット・モーム ... >>