「二重人格」 ドストエフスキー 岩波文庫

(あらすじ)
主人公ゴリャートキンは小心で引っこみ思案,そして才能も家柄もない典型的小役人。自分の性格や今自分の置かれている現状に比し,出世して人生の成功者になりたいという欲望はあまりに大きく,そのギャップに苦しんで精神的に病んでしまった結果,もう一人の自分という幻覚を作り出してしまう・・・。

もう一人の自分(新ゴリャートキン)は,快活で人当たりがよく,ゴマすりもうまい。本当の自分とは正反対であり,こうありたいと常々思っている自己の姿をまさに体現している。そんな新ゴリャートキンに,役所での自分の地位を次々と奪われて嫉妬し,段々と精神的に病んでいく過程が描かれているのだが,結論的に読んでてやや退屈という印象を受けた。

ゴリャートキンが新ゴリャートキンを憎み,復讐をしてやろうと思いつつも,いざ彼を前にすると,その小心さからか怖気づき,自分が悪かったと謝ったうえで相手の機嫌までとり始める。そういったゴリャートキンの人物像や,簡単には割り切れない人間の微妙な心理,理想と現実に苦しむ様子などを,非常に上手く描いている。
しかし,ストーリーが同じパターンの繰り返し(新ゴリャートキンが旧ゴリャートキンに嫌がらせ→新ゴリャートキンが出世→嫉妬,憎しみ→出世を妨げようと働きかける→失敗→新ゴリャートキンに許しを請う)であるうえ,個々のパターンにおけるゴリャートキンの内心の葛藤の描写があまりに長く,326ページ読み終えるまでやたら長く感じる。半分ぐらいの分量にすればすっきりまとまるのに・・・と思ってしまった。


<オススメ度>★★★
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by komuro-1979 | 2007-01-08 19:31 | ロシアの小説
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