「三四郎」 夏目漱石 新潮文庫 

熊本の工業学校を卒業して,東京の大学に進学した三四郎の,青春を描いた作品。

全体的に淡白で短調な印象を受けた。
三四郎の心の葛藤や美禰子への恋心などの心理描写があっさりしている感があり,読んでてつっかえることなくスラスラ読めてしまうのだが,その分,深く感情移入できなかった。

また,これは完全に好みの問題だけれど,作者の文章は一文一文が簡潔であり,あまりにすっきりとしているが,この点,長文でややくどい文章が好きな僕にとっては物足りなく感じた。

では,読んで損した気分になったかというと決してそうではない。美禰子との出会いや別れのシーンなどの印象に残るシーンや,台詞がたくさんあったからだ。特に,「その時僕が女に,あなたは画だと云うと,女が僕に,あなたは詩だと云った」という台詞は印象に残った。

結局,個々のシーンや台詞に印象に残るものがありつつも,全体としてはやや退屈であったというのが正直な感想だ。


<オススメ度>★★★
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by komuro-1979 | 2006-11-26 22:44 | 日本の小説
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