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「点と線」 松本清張 新潮文庫

(あらすじ)九州博多付近の海岸で発見された男女の死体。
刑事である主人公は、単純な心中事件として処理されることに疑問をもち、
世間を騒がしている汚職事件との関連しているのではないかと推測、
容疑者とおぼしき者のアリバイ崩しに尽力する・・・。

松本清張の小説を読むのはこれがはじめて。
著者の有名な推理小説というとこで期待を持って読んだのだけれど、
面白さが分からなかった。

その原因は、この小説が「アリバイ崩し」ばかりに重点を置きすぎており、
登場人物の描写があまりに少なすぎることにあると思った。
推理小説のファンならいざしらず、普通の読者は、
「アリバイ崩し」などのパズル的要素だけでは退屈だ。
そういう要素は、登場人物に対する感情移入があってはじめて生きるものだと思う。
僕は、主人公や容疑者をはじめとする登場人物たちの名前が、
たんなる記号のように思えてしまい、しまいには容疑者のアリバイなど
どうでもよく感じられてしまった。

あまりに味気ない、まるでパズルの問題集のような小説だと思う。


(オススメ度)★★
by komuro-1979 | 2006-07-01 23:35 | 日本の小説
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