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「老人と海」 ヘミングウェイ 新潮文庫

老漁師が一人で出漁し、4日にわたる死闘の末に巨大なカジキマグロを釣るも、
帰途サメに襲われ、釣った魚を食われてしまう・・・。

ただそれだけの話なのだが、非常に面白かった。

カジキマグロを捕まえるために、他に捕獲した魚を逃がし、
船のありとあらゆる設備を使い果たす。
体は傷つき、疲労のためになんども意識を失いそうになる。
陸では弱々しく見えるこの老人の、
漁にかける意気込みとその戦いぶりはすさまじい。

老人はカンジキマグロと戦ったが、自分の心とも戦っていた。
漁の途中、彼の心には何度も何度も孤独と弱気の波が押し寄せる。
一体彼は何回「あの少年がいたらなぁ・・・」と、口にした事だろう。
それでも勇気を奮い起こし、ついに打ち勝った。
そこに特に感動した。

死闘の末にようやくカジキマグロを釣り上げたが、帰途にサメに襲われる。
必死に抵抗を試みるも、結局、カジキマグロはサメに食われてしまう。
無情だ。
小説の最後の方の、旅行者の台詞がさらにその無情さに拍車をかける。

あの死闘は報われなかったのか?
・・・いや、
少年が老人の勇気をきっと引き継いでくれる。
そう思った。


<オススメ度>★★★★
by komuro-1979 | 2004-10-11 01:03 | アメリカの小説
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