「宴のあと」 三島由紀夫 新潮文庫

(あらすじ)
料亭の女将であるかづは、客として店に来た野口に惹かれ、結婚する。
その後、野口は都知事選に出馬を表明し、選挙戦に突入。かづはこれに協力する。
選挙を戦う中で、野口とかづの性格の相違が両者の間に溝をつくり、
やがて埋められないものとなっていく・・・。

かづと野口の、動と静の対比が際立っていた。
かづは、あれほど活動的で精力にあふれているのに、
自分と正反対の性質をもつ野口に惹かれたり、死後の孤独を恐れていたのが面白い。
そういう複雑なかづの心情がとてもうまく描写されていて、
かづという人間がほんとに存在していたかのような錯覚をうけるほどだった。

選挙戦のシーンの熱狂と疾走感の描写もすばらしかった。
自然と、かづの選挙にかける情熱にひきこまれてしまう。
それは、穏やかな恋愛のシーンが中心の小説前半とのギャップのせいで、
より一層際立って感じられた。

ストーリーは、かづと野口の性格・行動の鮮やかな対比を軸に進んでいくので、
とても整然とした構造を持った小説との印象を受けた。
そのせいか、非常に読みやすかった。
また、かづの心情描写や風景描写もすばらしく、
日本語の豊かな表現力と美しさを再確認させられた。
これはオススメの小説です。


<オススメ度>★★★★★
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by komuro-1979 | 2006-04-11 21:03 | 日本の小説
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