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「君主論」 ニッコロ・マキアヴェッリ 講談社学術文庫

前回読んだバルザックの「幻滅」で、マキアヴェリズムという言葉に出会った。
辞書をひくと、「目的のためには手段を選ばない、権力的な統治形式」とあり、
マキアヴェリという人が、「君主論」という書物の中で説いた考え方であることが分かった。
「幻滅」のなかで神父が説いた悪の道徳論に共通するものを感じ、興味を持ったので、
早速、この本を手にとってみた。

どんな非情なことが書いてあるのかと、楽しみにして読み始めたけど、
書いてあることはどれも真っ当なことのように感じられたので、少々拍子抜けした。
著者が非情な手段を薦めるのも、それが統治のためのもっとも有効な手段である場合に
限定していて、常に非情であれと言っている訳ではなかった。そりゃそうだ。

君主のために書かれた書物であるから、
他国との同盟についてだとか、兵士についてだとか、
現代人にとっては関係がないテーマが多い。
でも、だからといって、読んで無駄とは思わなかった。
というのは、著者の様々な政策論は鋭い人間観察に基づいており、
統治者との関係性のなかで、人間というものがどういうものかを鋭く分析している。
人間の本質が今も昔も変わらないことを考えると、
これらの分析は現代人の人間関係を考える上で、参考になると思えたのだ。
特に、管理職にある人は、読んで損はしないと思う。


<オススメ度>★★★
by komuro-1979 | 2006-03-18 19:30 | 小説以外の本
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