前回読んだバルザックの「幻滅」で、マキアヴェリズムという言葉に出会った。
辞書をひくと、「目的のためには手段を選ばない、権力的な統治形式」とあり、 マキアヴェリという人が、「君主論」という書物の中で説いた考え方であることが分かった。 「幻滅」のなかで神父が説いた悪の道徳論に共通するものを感じ、興味を持ったので、 早速、この本を手にとってみた。 どんな非情なことが書いてあるのかと、楽しみにして読み始めたけど、 書いてあることはどれも真っ当なことのように感じられたので、少々拍子抜けした。 著者が非情な手段を薦めるのも、それが統治のためのもっとも有効な手段である場合に 限定していて、常に非情であれと言っている訳ではなかった。そりゃそうだ。 君主のために書かれた書物であるから、 他国との同盟についてだとか、兵士についてだとか、 現代人にとっては関係がないテーマが多い。 でも、だからといって、読んで無駄とは思わなかった。 というのは、著者の様々な政策論は鋭い人間観察に基づいており、 統治者との関係性のなかで、人間というものがどういうものかを鋭く分析している。 人間の本質が今も昔も変わらないことを考えると、 これらの分析は現代人の人間関係を考える上で、参考になると思えたのだ。 特に、管理職にある人は、読んで損はしないと思う。 <オススメ度>★★★
by komuro-1979
| 2006-03-18 19:30
| 小説以外の本
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