「幻滅(上)」 バルザック 藤原書店 

(あらすじ)
田舎で貧しい暮らしをしつつも、才気に溢れ、青年らしい野心をもった詩人リュシアン。
ある日彼が田舎の貴族夫人に気に入られてから、その運命は一変する。
上巻では、田舎からパリに出てきたリュシアンが、出版業界に入り、出世するまでの
経緯が描かれる。

最初、ダヴィッドの話が延々と続くので
主人公はダヴィッドなのだと思って読んでいたら、なんとただの脇役だった。
最初からあれほどのページを割く必要がない気がするが・・・。
もしかしたら下巻で活躍するのだろうか?

リュシアンは「セナークル」の善良で高潔だが貧しい人々から離れ、
欲望と陰謀渦巻く出版業界に入り、そこであっという間に出世する。
社会的地位と経済力が上がり、今まで鼻にもかけてもらえず侮辱さえ受けた
貴族や有力者たちに対して復讐をはじめる。
その様子は爽快だけど、「セナークル」の偉人たちに感化されるリュシアンの様子を
もっと見ていたかったので、ちょっと残念な気もする。
また、リュシアンのあの出世欲と向こう見ずさはかなり危なっかしく感じる。
いつか誰かに策略にはまってあっさり没落しないかと、ハラハラしてしまった。

リュシアンの出世物語を通じて、
当時、ジャーナリストというものが社会にどれほど大きな影響力をもっていたか、
また、記事というものがどういう社会的権力関係の中で作られるのか、
そういう出版業界の裏事情が垣間見れてとても面白かった。
現代の出版業界はどうなのだろう・・・?
やっぱり本質はこの頃と変わらないのだろうか?
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by komuro-1979 | 2006-03-11 01:08 | フランスの小説
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