「燃えよ剣(上)」 司馬遼太郎 新潮文庫

簡潔で無駄をそぎ落とした文章のおかげで、
非常にテンポよく話が進んでいくのだが、
しかし、その簡潔すぎる文章が、自分にはあまり合わなかった。
もっと土方の内面に突っ込んだ心理描写が欲しかったし、
自然描写も、もうちょっと詳しく書けば雰囲気が盛り上がったのに、と思う。

また、隊士がその後どうなったとか、
藩と藩との関係を現代の○○に例えたりするなど、
ストーリーの展開と離れて現代の視点から説明する箇所が多いが、
物語の世界から現代に一気に引き戻される感じがして嫌だった。
歴史教科書的な役割を期待してこの小説を読んでいるわけじゃないので、
そういう説明的な文は要らなかったように感じた。

そして、次から次へと事件(殺し合い)が勃発するため、
そのせいで個々の事件の重みをだんだんと感じなくなり、
生死のやり取りの緊迫感を感じなくなってきてしまった。
もっともこれは史実がそうなのだから、しょうがないのかもしれないが・・・。
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by komuro-1979 | 2006-02-11 14:13 | 日本の小説
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