「魔の山(下)」 トーマス・マン 新潮文庫

ようやく読み終わった。ほんとに時間がかかった。
この小説はもともと全般的に難しいが、
下巻に入り、ナフタとセテムブリーニとの間の議論の場面で、その難しさは頂点に達した。
あれを理解するには、ヨーロッパの思想史?もしくは哲学史?などの専門的知識が
必要なのではないだろうか(正直、どんな知識が必要なのかさえ分からなかった)。

前回の上巻の感想から、難しい難しいと連呼しているけど、挫折することもなく、
最後まで飽きずに楽しく読めた。

その理由として考えられるのは、まず、この小説で扱うテーマの豊富さにあると思う。
これらのテーマの中には、時間論や音楽論など、自分の興味のあるテーマがたくさんあり、
その部分を読んで主人公と共に考えを深めるという楽しさがあった。

次に、主人公がいろいろな人間と出会い、恋愛をし、考え方を変化させていくという、
ストーリーそれ自体の面白さがあると思う。
主人公は、最初あれだけ異常だと感じていたサナトリウムでの生活に次第に順応し、
結局はそこに住み着くまでになり、しまいには、
一般人の感覚からすれば明らかに不自由なそこで生活を「自由」だと思うようになる
その過程に、人間の慣れというものの怖ろしさを感じ、慄然とした。

ただ、ラストはちょっと尻すぼみな気がする。
主人公の目を覚ましたものがアレだとは・・・。
そう感じるのは、やはりアレを実体験したことのないからだろうか?
(ネタばれになってしまうために抽象的ですいません。ぜひ読んでみてください)

・・・
というわけで、分量多いし、哲学チックだし、言ってることが難しいので、
オススメ度は★3つにします。
でも、小説内でなされる議論のすべてが理解困難なほど難しいわけではなく、
また、ストーリーの進展と、これらの議論との関連性が薄い場合が多いので、
ストーリの骨子の部分と自分の関心のある理解可能な議論については熟読し、
他の部分は飛ばして読んでも十分に楽しめるのではないでしょうか。


<オススメ度>★★★
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by komuro-1979 | 2005-11-16 16:19 | ドイツの小説
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