(あらすじ)
主人公がスイス高原にあるサナトリウムで世間とは隔離された療養生活を送り、 そこにいる患者たちと出会い、別れ、成長していくという話。 主に主人公と他の患者との対話がメインで物語は進み、 会話のテーマは時間、音楽、病気、愛、死、精神と肉体、生理学、道徳など、 広い分野にわたる。 患者たちは、とても抽象的で難しい言葉で話すために、 その言っている内容を理解するのがかなり困難。 こんな奴らいないだろ~っていうくらい理屈っぽくて小難しいことばかり話す。ありえない・・・。 一読してだけでは意味が分からない箇所がたくさんあり、 そのたびに数ページさかのぼって読み返したりするので、 上巻を読むのに、同じぐらいの分量の他の小説を読む場合に比べて 2倍近くの時間がかかってしまった。 読後の疲労感はまるで分厚い学術書を読んだ後のようだった。 そんな難しい会話の連発のなか、 主人公のショーシャ夫人に対する恋は容易に理解可能なので、 この小説を読んでて唯一安らげる部分だった。 主人公が恋愛に関しては奥手でうぶであり、応援したくなる。 恋愛小説としても、とてもよくできていると思った。 ただ、上巻最後の 「君の膝頭の皮膚の匂いを嗅がせてくれたまえ・・・君の毛穴の発散物を嗅ぎ、君の柔毛を愛撫させてくれたまえ。」という告白は、ちょっと変態っぽくて笑ってしまった。
by komuro-1979
| 2005-11-12 01:45
| ドイツの小説
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