(あらすじ)
ピップに財産を援助していた謎の人物が、ついに彼の前に姿を現す。 それによってピップの運命は大きく変化する・・・。 上巻の中盤以降から下巻の最初のあたりでは、 話がなかなか進まないのに少しもどかしさを感じた。 読み手としては、やっぱりピップに財産援助をしている人物の正体や、 エステラやミス・ハヴィシャムとの結末に興味があるのに、 それ以外の自分たちの描写が長かった。 でも、それが退屈というわけではなく、 長い描写のお陰で、他の登場人物の魅力が十分伝わってきた。 特に、プライベートでは心が温かく、世話好きでおしゃべりなのに、 仕事では無口で、あくまで冷徹に機械的に仕事をするウェミックという人物が面白かった。 上巻を読み終わったときは、 ストーリーの流れが定番的で、先の展開が読みやすい小説だと思ったけど、 下巻に入ってそれは完全な思い違いだったことが判明した。 いい意味で期待を大きく裏切られた。 どんでんがえしの連続。 「これは、やりすぎだろ~!」と、何度心の中でつっこんだことか(笑) とにかく先が知りたくて、息つく暇なく最後まで読んでしまった。 特に印象に残ったシーンは、 ピップのエステラに対する、血を吐くような告白のシーン。 ものすごい緊迫感と悲壮感だ。 ピップの胸の苦しみが直接自分に流れ込んでくるようだった。 次に、プロヴィスという人間の生き様とその最後。 最後にピップが彼の愛に心を動かされ、 死を看取る様子は、読んでて涙が出そうだった。 ご都合主義というか、話が少し強引だった気もしないでもない。 でもそれを補って余りある面白さ。 これはぜひとも読んでみてください! <オススメ度>★★★★★
by komuro-1979
| 2005-09-04 16:49
| イギリスの小説
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