「郷愁」 ヘッセ 新潮文庫

(あらすじ)
自然に満ち溢れた山間の村を出て、都会暮らしをはじめた主人公ペーター。
長い都会暮らしのなかで、
文明生活に馴染まない自分の詩人としての本性を再確認することになり、
結局彼は故郷に安住の地を求める・・・。

自然風景の描写はとても素晴らしいと思った。
うまく言えないのだが、まるで木や山が生きていて、意志をもっているかのように、
生き生きと動的に描かれていた。
作者の自然に対する深い理解と愛情がひしひしと伝わってくる。

ストーリは、ペーターの過去を少年時代から現在まで順を追っているのだが、
各時代に割かれた記述が少なく感じられた。
その結果、その時その時に起こった色々な出来事に対する掘り下げが足りず、
少し消化不良に感じたのが残念だった。
とはいえ、ペーターが自分の本性を再確認していく過程は十分に面白かった。

それにしても、心に悩みを持つやや暗い少年が
自己にない性質を持った明るくて朗らかな友人と出会い、
一方で、美しくて完璧ともいえる女性に恋をするという展開は、
ヘッセの他の小説でも見た気がするが、
これはヘッセの一つの典型的なパターンなのだろうか・・・?


<オススメ度>★★★★
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by komuro-1979 | 2005-08-01 15:32 | ドイツの小説
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