「荒野のおおかみ」 ヘッセ 新潮文庫

(あらすじ)
自意識過剰で市民生活になじめないハリーが、
不思議な少女ヘルミーネと出会い、自己を解体していくという話。

今まで読んだヘッセの小説とは違って
ファンタジー色が強く、寓話的だった。
観念的、抽象的な記述が多く、はっきり言ってムズイ・・・。
特に「荒野のおおかみについての論文」の部分は
よく分からなくて、頭痛で寝込みそうになった。

全体を通じて寓話的なエピソードがいくつも挿入されていたが、
それらを通じて作者が何をいいたいのか一読しただけでは理解が困難なものが多く、
読むのにとても骨が折れた。
中でも特に、現代文明批判を暗喩するエピソードは分かりにくかった。

ただ、ヘルミーネがハリーの心に土足で入り込んで
ハリーの自己変革を強引に促すところは非常に面白かった。
ハリーはなお自己の殻に閉じこもろうとしてそれに抵抗を示すも、
結局はヘルミーネの手のひらで踊らされる様子は可笑しかった。
しかし僕はそうやって笑いつつも、
ハリーの悩みに共感できる部分があり、彼に自分の姿を重ね合わせていたせいか、
彼の滑稽さが自分の滑稽さでもある気がして少し胸が痛かった。
ヘルミーネのような少女に出会ったハリーを
本気でうらやましいと感じた自分は、もうダメなのかもしれない・・・。


・・・
とても難しい小説だと感じました。
情けないことですが、僕は一度読んだだけではあまり理解できませんでした。
再読するたびに理解が深まり、この小説に対する評価は変わる気がします。
オススメ度は再読するまでの暫定的なものとして、
星3つとしておきたいと思います。


<オススメ度>★★★
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by komuro-1979 | 2005-07-28 01:50 | ドイツの小説
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