「知と愛」 ヘッセ 新潮文庫

(あらすじ)
修道院に入り、精神の人になろうとしたゴルトムントは
そこで出会った師であり友でもあるナルチスによって、
自分は精神に仕える人間ではなく、芸術に仕える人間であることを気づかされる。
そしてゴルトムントは修道院を出て各地を放浪し、
行く先々での様々な出来事を通じて自己を確立していく・・・。


マイッタ。これは面白すぎる。
時間を忘れ、夢中で読んでしまった。
久しぶりに心の奥底を揺り動される本を読んだ気がする。

まず、ナルチスとゴルトムントの友人関係に感動した。
お互い全く正反対の性質を持ちながらも、
魂のレベルで理解し合い、尊敬し合い、高め合う関係。
そして何年離れていても決して変わらない友情。
そこに「友人」というものの理想形を見た気がした。
こんな友人が身近にいたら、自分の人生はきっと大きく変わるに違いない。
非常に羨ましく感じた。

ゴルトムントは旅先で様々な人や事件にあう。
どのエピソードも非常にスリルがあって
その展開を追うだけでも十分に楽しい。
でもやっぱり、この小説をここまで面白いと感じさせるのは、
それらの経験を通じて語られる「哲学」の部分だと思う。
ゴルトムントは放浪生活を通じて
孤独や死、芸術や愛などのテーマをについて深く考える。
その思考過程はとても含蓄に富んでいて味わいが深い。
読みすすめていくうちに、いつしか思考の世界に没入し、
これらのテーマについて自問自答している自分に気づいてしまう。
自分の生き方や価値観を再考するとてもいい機会になった。


・・・と、いうわけで、
オススメ度は当然、星5つです。
哲学的な小説ですが、決して難しいわけではありません。
哲学を全面に出しすぎた小説だと疲れてしまいますが、
この小説は物語性が高く、哲学と物語性とのバランスが絶妙だと思いました。
超オススメの小説です。


<オススメ度>★★★★★
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by komuro-1979 | 2005-02-10 18:43 | ドイツの小説
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