無事に免許をとれたことだし、気持ち良く新年一発目の感想を。
最初、インド仏教の用語がたくさん出てきて面食らったが、 注もついているし、最後まで読み通すのに特別な宗教知識は要らず、問題なく読めた。 この小説は、シッダールタが悟りに到達するまでの葛藤と、 それを克服していく過程が詳しく描かれており、 記述の中心は心理描写となる。 シッダールタの感じた心の乾き、焦燥、堕落、絶望。 そして悟りへと向かう心情の変化が非常に上手く描けていて、 まるでシッダールタと共に悟りとは何かと苦悩し、探求している気分になる。 また、カマーラの飼っている小鳥にシッダールタの心理状況を暗喩させたり、 別の道を歩んだかつての友と何度も再会させて シッダールタの心理変化を際立たせたりするなど、 小説の構成も非常に上手いと思った。 シッダールタの到達した悟りの境地は凡人には理解が難しいが、興味深くはある。 この「悟り」がインド仏教哲学の中でどのような位置付けにあるのか、 そういうことが分かれば一層楽しめたのに残念だと思った。 ・・・ 159頁と薄いけど、非常に中身の濃い骨太の小説。 ひたすら内省的かつ哲学的なので、 合わない人は合わないとは思うけど、 ぜひ手にとって読んで欲しいと思います。 <オススメ度>★★★★
by komuro-1979
| 2005-01-05 12:16
| ドイツの小説
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