「女の一生」 モーパッサン 新潮文庫

修道院で教育を受けた善良で清純な娘ジャンヌは、
詩的で美しく、幸せに満ちた恋愛と結婚生活を想像するも、
夫や子供に裏切られ苦難の生活を送るという話。

全般的に自然描写が多い気がした。
それはそれでいいのだが、そのせいで序盤はなかなか話が進まず退屈に感じた。
だが、ジャンヌが結婚し、夫の本性が現れてくるあたりから一気に面白くなる。

ジャンヌは修道院で世間から隔離された生活を送っていたため、
善良で純粋で穢れを知らない、悪く言えば世間知らずの娘として登場する。
彼女は自分の幸せな将来を信じて疑わず、
将来の恋人との詩的で精神的な恋愛を夢に見る。
そんなジャンヌの夢がまず夫によって破壊される。
絶望のふちから立ち直ろうとしてなんとか新たな慰めを見つけるも、
それもまた破壊され、さらに最後の心のよりどころであった息子にも裏切られる。
言わば彼女の人生は裏切りと絶望の連続だ。
だから読んでて気分は暗い。
気分は暗いのだが、続きが気になり夢中で読んでしまう。

ジャンヌの体験した事件は、ドラマや小説などでよく見るありふれたものだ。
だけど読んでるうちにすっかりジャンヌに感情移入してしまうために、
それらがとてつもなく重大で許しがたい事件のように感じ、
事件の張本人に怒りを感じると共に、不幸なジャンヌに心から同情してしまう。
読者を作品に引き込む作者の力量の凄さを感じた。


・・・

オススメ度は久々の星5つ(やや甘め)。
上の感想だけだと、まったくもって絶望的な話のように思えますが、
終盤にやや救いがあるので読後感はそれほど悪くありません。
ただ解説が言うように、この救いも新たな裏切りと絶望のはじまりになりそうな
予感がしてしまうのはどうしてでしょうか・・・。


<オススメ度>★★★★★
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by komuro-1979 | 2004-11-20 18:07 | フランスの小説
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